大西コラム COLUMN 「常在戦場」

オリンピック・パラリンピック東京開催決定を受けて ~企業とコミュニティが一体となってパラリンピックの選手たちを応援する

vol.2

2013.10.18

2020年のオリンピック・パラリンピックの開催地が、東京に決定しました。
日本の招致活動に当たっては、経済同友会の東京オリンピック・パラリンピック招致推進委員長から招致を手伝ってくれと言われたのを機に、私も微力ながら、市民社会サイドからどんなアプローチが可能かを考え、応援してきました。

今から7年後の東京開催をどんな大会にしたいか、という議論の一つに、オリンピックとパラリンピックを同時開催する話があります。

オリンピックは、1984年のロサンゼルス大会以降、良くも悪くもコマーシャル的な要素が強まったと感じますが、日本で開催する際には、もっと社会性の高いイベントにシフトしていくべきではないかと私は思っています。

バリアフリーやユニバーサルデザインの問題を日本全体で考える契機にもなるパラリンピックを、オリンピックと同じ時期に開催する。そして、パラリンピックに参加する選手や観戦する身障者の方々も一緒にスポーツを楽しむことができれば、日本の“先進性”を示すこともできるのではないでしょうか。

オリンピック・パラリンピックは、市民一人一人がどうかかわれるか、その運営が肝です。
そのヒントが、サッカー女子の「なでしこジャパン」にあると思います。日本女子サッカーは2011年のワールドカップの優勝を機に爆発的な人気が出ましたが、それ以前のまだそれほど人気が集まっていなかったころ、地方の企業や自治体など地域の人たちが協力して選手たちの練習を支えてきた経緯があります。その間、文字通り足腰をきたえ、それが大企業のスポンサーなしに優勝を勝ち得ることにもつながりました。

ここに、パラリンピックの選手たちを応援するカギがあると思います。パラリンピックに挑戦する日本の障がい者スポーツ選手の多くは、自費で練習環境を整えているのが現状です。

海外では、国の支援や企業スポンサーがついているチーム・選手もいます。世界で戦える選手を育てるためにも、「一村一品運動」ではないけれど、各地の地元企業や自治体に協力をあおぎ、企業とコミュニティが一体となって「一地区で1種目」を応援し、選手を支えていくことを制度化してはどうでしょうか。

そして、パラリンピックが終わっても、彼らがインストラクターとして活躍したり、次の大会を目指したりしながら、もっとコミュニティに根付けるようになったら互いに良い影響があるはずです。

私は現在、広島県の神石(じんせき)高原という過疎地域に住んでいますが、そこで暮らして思ったのは、さまざまなことがいかに東京に一極集中しているかということ。

日本全体の課題である過疎地をよみがえらせるためにも、2020年の大会は、東京だけで完結させるのではなく、東北の被災地を含む他の地方も巻き込むことを意図的にやるべきだと思います。パラリンピックの選手を全国の自治体や企業が応援する制度を設けることも、そのアイデアの一つ。東京開催の意義を都民だけでなく、日本全体が感じられる仕掛けが必要だと強く思います。

※参考:東京2020オリンピックパラリンピック招致委員会評議会の小倉和夫事務総長との対談はこちら 
http://tokyo2020.jp/jp/news/index.php?mode=page&id=766